メールマガジンアーカイブ(2026年5月)

※本記事は、2026年5月に、顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。

皆様

万和法律事務所の弁護士福本・中島・千代・中尾です。

今回のメールマガジンでは、今から備えておきたいカスタマーハラスメント対策に関するニュースについてご紹介します。

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客から理不尽な要求や暴言を受けるカスタマーハラスメント(カスハラ)について、東京都が企業を対象にした初の実態調査の結果を公表した。都は昨年4月に全国で初めてカスハラ防止条例を施行し、防止対策をとることを企業の努力義務としたが、取り組んでいる企業は約4割にとどまった。

 調査は条例施行から半年後の昨年10月に実施。都内の「宿泊、飲食サービス」「卸売り、小売り」「建設」「製造」など15業種、計4727社と3817人の従業員から回答があり、都は3月末に結果を公表した。

 過去1年間にカスハラ被害にあった従業員は約1割、「見聞きしたことはある」を合わせると約4割にのぼった。カスハラの内容としては、「頻繁なクレームや同じ質問を繰り返すなど」(61.6%)が最も多かった。

 カスハラは従業員が被害にあっても立場上、拒否したり抗議したりするのをためらうケースもある。そのため、都の条例は事業者に対して、従業員の安全確保や顧客への適切な措置をとることを努力義務とした。

 この努力義務について「知っていた」と回答した企業は83.8%だった。一方で、実際に防止対策に取り組んでいるとの回答は38.5%にとどまった。取り組んでいない理由としては「正当なクレームとの判断の難しさ」(29.6%)が最も多く、「ノウハウ不足」(23.8%)が続いた。

(令和8年4月22日配信 朝日新聞 より引用)

———————————-引用ここまで————————————

近時、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への社会的関心が急速に高まっています。

東京都では昨年、全国で初めてとなるカスハラ防止条例が施行され、事業者に対して、従業員の安全確保や顧客への適切な対応措置を講じる努力義務が定められました。

さらに現在は、国レベルでも法整備が進んでいます。

2025年には「労働施策総合推進法」が改正され、企業に対するカスハラ対策が法的義務となることが決まりました。施行は2026年10月1日とされており、今後はすべての事業者に、従業員をカスハラから保護するための体制整備が求められることになります。

現時点で想定されている対策は、以下のようなものがありますが、社内で整理できておられますでしょうか?

・カスハラに対する基本方針の策定

・従業員が相談できる窓口の整備

・従業員が一人で抱え込まない仕組みづくりの整備(対応マニュアルの策定・研修等)

・従業員個人を攻撃対象とされることの防御策

・悪質事案発生時の対応フロー整備(対応打ち切りや取引停止、警察相談、弁護対応への切替の基準等)

・録音、記録保存等の体制やルール整備

・SNS投稿、口コミ、Googleレビュー等への対応方針があるか

・クレーム対応とカスハラ対応を区別したマニュアルがあるか

これらの対策について、中小企業の現場では、

・「どこまでが正当なクレームなのか分からない」

・「顧客対応を厳しくすると売上に影響しそう」

・「現場任せになっている」

といった理由から、十分な対応体制を整備できていないケースも少なくありません。

しかし、カスハラ問題を放置すると、従業員の離職やメンタル不調、職場環境の悪化につながるだけでなく、会社の安全配慮義務との関係で法的問題に発展する可能性もあります。

カスハラ対策は、単なる接客マナーの問題ではなく、「従業員を守り、事業継続を支えるリスク管理」の一環として考える必要があります。また、カスハラ対策は、単に「お客様に強く対応する」という話ではありません。正当なクレームには適切に対応しつつ、社会通念上許容される範囲を超えた要求や言動から従業員を守るために、会社として判断基準と対応手順を持っておくことが重要です。

特に、2026年10月からは法的義務として対応が求められる以上、「まだ先の話」と考えるのではなく、今のうちから社内ルールや対応体制を整理しておくことが重要になるでしょう。

弊所でも、カスハラ対応方針の作成、クレーム対応マニュアルの整備、従業員向け研修、悪質顧客への通知書作成、SNS・口コミ投稿への対応、実際に発生した事案の対応方針の検討などを承っております。「どこからがカスハラなのか判断に迷う」「現場任せになっている」「悪質クレームへの対応基準を作りたい」といった場合には、お気軽にご相談ください。

(文責:弁護士 中尾二郎)

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