メールマガジンアーカイブ(2026年4月)

※本記事は、2026年4月に、顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。

皆様

万和法律事務所の弁護士福本・中島・千代・中尾です。

今回のメールマガジンでは、株主総会に関連する記事についてご紹介します。

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東京地裁、オンライン決議認めず 会議は法令違反

一般財団法人「日本経営史研究所」(東京、破産手続き中)の理事だった2人が、オンライン会議システムによる評議員会で可決された解任決議の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、現行法がオンラインのみの「バーチャルオンリー」での開催を認めておらず、法令違反だとして決議を取り消した。

 判決によると、法人は評議員会の日時を2025年10月6日午後8時、場所を「オンライン会議システム」として開催。6人が出席して原告2人の解任が可決された。

 金崎哲平裁判官は、会社法が開催場所を定めないバーチャルオンリー株主総会を原則、認めていないと指摘。この点を踏まえ、一般社団法人法でも同様だと判断した。

(令和8年4月7日共同通信より引用)

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 今年も早いもので、4月が終わろうとしています。

6月が近づき、皆様方の中には、株主総会への対応に追われておられる方もいらっしゃるのではないかと思われます。

今回、ご紹介する記事は、一般社団法人での評議員会の決議の効力が問題となった事案で、株主総会そのものに関するものではありませんが、株主総会に関連するものとして取り上げさせていただきます。

1 記事の内容

記事によれば、裁判所は、オンライン会議システムのみで開催された評議員会における決議について、その手続きに「法令違反」が存在するものとして、無効であると判断しています。

裁判所が問題視した点は、評議員会を、物理的な会場での開催を一切せず、オンライン上でのみの開催(いわゆる「バーチャルオンリー」での開催)とした点です。

この点について、裁判所は、会社法における株主総会に関する定めと踏まえ、バーチャルオンリーでの評議員会の開催は法律に反するものと判断しています。

2 株主総会に関する法律の定め

 一般的に、株主総会といえば、会議室などの部屋に役員や株主が一堂に会して開催されるもの、というイメージを持たれるのではと思われます。

 会社法も、このような会議室などの物理的な会場で開催することを原則としつつ、オンライン会議システムを用いた株主総会の開催も例外的に認めています。具体的には、物理的な会場を用意した株主総会の開催との併用であれば、オンライン会議システムを用いての株主総会の開催も可能とされています(会社法施行規則72条3項1号)。つまり、会社法では、オンライン会議システムだけでの株主総会の開催(=バーチャルオンリーでの株主総会の開催)とすることはできないということとなります。

ただ、これにも例外があり、上場会社に限っては、産業競争力強化法の改正により、一定の要件を満たした場合に、会社法の特例として「場所の定めのない株主総会」(バーチャルオンリーの株主総会)を開催することが可能となっています。

以上から、オンライン会議システムを用いた株主総会を開催するとしても、上場会社・非上場会社を問わずに実施できるのは、リアル開催の株主総会とオンライン会議システムとを併用した「ハイブリッド型」ということになります。

3 時代錯誤?

原則としてバーチャルオンリーの株主総会の開催を認めていないことには一定の理由があるとはいえ(通知環境によって参加できなくなる株主が存在する可能性があること等が理由とされています。)、このような法律の内容は、時代にそぐわないのではないかと思われた方も多いのではないでしょうか。なお、本配信時点(令和8年4月22日)では、会社法上、バーチャルオンリーの株主総会を認める規定はありませんが、バーチャルオンリーの株主総会を認める方向での「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」(令和8年3月18日)が取りまとめられており、今後、近いうちに、会社形態に関係なく、バーチャルオンリーの株主総会の開催の実現となるかもしれません。

法律が時代に追いついていないというのは、株主総会の開催方法に限ったことではありません(ちなみに、WEBによる裁判を認める法律改正がなされたのもここ数年のことです。)。

とはいえ、法律は手続きを重んじますので、手続きを誤ってしまえば、今回ご紹介した記事の事案のように、法律違反として、事後的に決議が無効とされてしまいます。

ですので、株主総会の開催・決議にあたっては、法律に定められた手続きをしっかりと守ることが重要となってまいります。

弊所では、株主総会や社員総会の開催について、法的な手続面でのサポートはもちろん、運営のサポート(想定問答集の作成等)につきましても柔軟に対応しておりますので、お困りのことがございましたら、お気軽にご相談くださればと思います。

(文責:弁護士 千代 明寛)

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