メールマガジンアーカイブ(2026年2月)
※本記事は,2026年2月に、顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。
皆様
万和法律事務所の弁護士福本・中島・千代です。
今回のメールマガジンでは、パワーハラスメント(パワハラ)に関する記事についてご紹介します。
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3年3カ月応接室で1人業務は「パワハラ」 あおぞら銀行に賠償命令
内部通報後に約3年にわたって応接室で1人で業務をさせられたことは不当だとして、あおぞら銀行(東京都)に勤務する50代の行員が、損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁(佐藤哲治裁判長)であった。高裁判決は「パワーハラスメントに該当する」として一審・東京地裁判決を変更し、損害賠償110万円を支払うように命じた。
行員はチーフファイナンシャルプランナーだった2020年6月、顧客の相続をめぐる同僚の対応について内部通報後、懲戒処分を受けた。人事部付に配置転換され降格。8畳ほどの応接室で3年3カ月、リポート作成などの業務を1人でしたという。
判決は、応接室での隔離は、パワハラ類型のうち「人間関係からの切り離し」にあたると指摘。与えられた業務もこれまで培ってきた経験とは無関係なものが多く、「退職に追い込むために誰でも遂行可能な業務」だったとし、「パワハラ」と認定した。
降格に伴い月給は2割減った。判決は「等級引き下げは、銀行の一存で、賃金の減額を許すことになる」と指摘。人事権の乱用とし、降格や減給なども無効とした。一方、こうした対応が内部通報の報復とした原告の主張は認めなかった。
行員は会見で「3年3カ月、屈辱感を感じた。判決にほっとした」と語った。あおぞら銀行は朝日新聞の取材に「現時点で判決文が届いておらず、コメントは差し控えさせていただく」と回答した。
(令和8年1月22日朝日新聞より引用)
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今回、ご紹介する記事は、パワハラが問題となった事案です。
ここで、パワハラの定義を確認しておくと、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(いわゆる「パワハラ防止法」)によれば、①職場において行われる優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであり、③その雇用する労働者の就業環境が害されるものをいうとされており、使用者側としては、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備などの必要な措置を講じなければならないとされています(同法30条の2第1項)。
①の要件からも分かるように、「上司⇒部下」の関係でしか成り立たないというものではなく、「部下⇒上司」の関係であっても、「優越的な関係」が認められる限り、パワハラが成立とするとされています(部下から上司に対するパワハラを認めた裁判例もあります)。
また、②・③の要件との関係では、必ずしも、「身体的攻撃」(暴力など)や「精神的な攻撃」(暴言など)だけが対象となるわけではなく、「人間関係からの切り離し」や「過大な要求」、「過小な要求」、「個の侵害」(プライベートの詮索など)もパワハラに該当しうるものとされています(厚生労働省雇用環境・均等局「パワーハラスメントの定義について」)。
今回ご紹介した事案は、記事中にも指摘があるように、「人間関係からの切り離し」の類型としてパワハラの該当性が問題となった事案となっています。
人と人が集まれば、いくら会社側として注意をしていたとしても、どうしてもトラブルが発生してしまいがちです。
ただ、使用者側としては、パワハラに該当しうる案件であれば、従業員間の問題というわけにはいかず、適切に対応していかねばなりません。もし、従業員間などで、トラブルが発生し、「これは、パワハラなのか?」と悩まれる場面がありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
あるいは、このようなトラブルを可能な限り未然に防ぐためには、従業員などに対する社内研修を実施することが重要となってきます。社内研修の実施をしたいといったご要望がございましたら、柔軟に対応させていただきますので、こちらもご遠慮なくお問合せくださればと思います。
ちなみに、「●●ハラスメント」とで言えば、セクハラ、パワハラ、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメントに続き、いわゆる「パワハラ防止法」の改正により、「カスターハラスメント」(カスハラ)の定義が初めて法定化され、使用者に雇用管理上必要な措置を講じることが義務付けされることとなります。
こちらのカスハラについても、次号以降で取り上げさせていただく予定です。
(文責:弁護士 千代 明寛)
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