メールマガジンアーカイブ(2023年9月)

※本記事は,2023年9月に,顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。

皆様

万和法律事務所の弁護士福本・中島・竹田です。

今回のメールマガジンでは、2023年10月1日から導入される「ステマ規制」についてご紹介します。

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○内閣府告示第十九号
不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条第三号の規定に基づき、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を次のように指定し、令和五年十月一日から施行する。

                  令和五年三月二十八日 内閣総理大臣 岸田 文雄

一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの

———————————-引用ここまで————————————

景品表示法は,事業者の商品または役務の取引について,内閣総理大臣が指定する類型の表示を「景品表示法5条各号に定める表示」(例:優良誤認表示,有利誤認表示)として禁止しています。

そして今回,「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」,いわゆる「ステルスマーケティング」が,「景品表示法5条各号に定める表示」の類型の1つとして,新たに指定されることとなりました。

まず,「ステルスマーケティング」とは,消費者に広告・宣伝と気づかれないように行われる広告・宣伝行為を指します。消費者の心理としては,ある表示が事業者による広告だと分かれば,「誇張した内容ではないか」「良いところしか書いてないのではないか」と警戒しつつ広告内容を認識できますが,それが口コミ等を装った宣伝だった場合,上記のような警戒心が働かず,消費者は表示の内容を信用してしまう可能性があります。このような可能性から,「ステルスマーケティング」は,消費者に誤認を生じさせ,かつ,この誤認によって消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択が阻害されるとして,今回新たに規制されることとなりました。

では,どのような表示が規制対象になるのでしょうか。特定の表示が今回の規制の対象となるかについては,運用基準による詳細な判断が必要となりますが,昨今ですと,インフルエンサーに広告を依頼する場合等に問題となり得ます。

例えば,インフルエンサーに自社の商品の広告を依頼する際には,当該広告が,事業者による表示であることを明瞭にする必要があります。まず,事業者による広告であることを明かさない広告は,当然に規制の対象となります。また,事業者による広告であることを明かしていたとしても,「これは第三者としての感想を記載しています。」といった形で,事業者の表示であるかどうかが分かりにくい場合,消費者が認識できないほど短い時間しか表示されない場合,文字が小さく視認がしにくい表示となっている場合なども,規制の対象となる可能性があります。

そして,これらの規制に該当する場合には,措置命令として行為の差止めがされたり,刑事罰が課せられる可能性があります。場合によっては,インフルエンサーに少なくない報酬や委託料を支払って広告してもらったにもかかわらず,広告自体を差し止められてしまう可能性もあります。

上述のとおり,規制に該当するおそれがあるかは,運用基準を基に判断する必要がございますので,広告宣伝を行う際にご不安を感じられた場合には,遠慮なくご相談いただけますと幸いです。

(文責:弁護士 竹田 仁)

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