メールマガジンアーカイブ(2022年5月)

※本記事は,2022年5月に,顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。

皆様

万和法律事務所の弁護士福本・中島です。

メールマガジン第2回は,従業員の残業についてです。

最近,「残業してほしくないのに従業員が残っている」「こんな場合も残業代を支払わなければいけないのでしょうか」といったご相談をいただくことが多くなりました。

働いてほしいのに(思ったように)働いてくれないというケースとは全く逆方向の悩みであり,少し整理が必要な話題なので,今回のメールマガジンのテーマに挙げさせていただきました。

まず,残業というのは勿論,労働の一部ですから,勝手に残業をしている場合に残業代を支払わなければいけないのかという問いに対しては,「それが労働時間に当たるなら払わなければならない」という回答になります。

そして,労働時間とは「会社の指揮命令下に置かれている時間」をいうと理解されており,会社からの残業命令がなく,社員が勝手に居残って作業をしている場合には,労働基準法上の時間外労働として扱う必要がない,というのが大枠の回答になります。

しかし,裁判例では,会社の指揮命令は明示的なものに限られず、「使用者の明示又は黙示の指示により業務に従事する」場合も労働時間に含まれます。

これは,はっきりと「残業をしてね」と伝えた場合だけでなく,残業せざるを得ない職場環境であった場合や,いわば黙認していた場合も,指揮命令があったと判断されてしまうという意味です。

そのため,もし貴社が「残業してほしくないのに従業員が残っている」とお考えの場合,残業は会社の指示があって行うものであることを周知徹底のうえ,許可制にする等の対策が必要となります。また,許可制であるにもかかわらずそれになおも従わずに残業している場合,LINE等のメッセージやメール,文書等で残る形で残業をしてはならない旨や,残業代を支払わない旨を告知しつつ,対面などで残業せずに帰るように促す必要があります。

職場環境や就業規則の定め方に応じて具体的な対策が必要となるケースもありますので,このような悩みをお持ちの場合は,遠慮なくご相談いただけましたら幸いです。

(文責 弁護士 中島裕一)