メールマガジンアーカイブ(2025年6月)
※本記事は,2025年6月に,顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。
皆様
万和法律事務所の弁護士福本・中島・竹田です。
今回のメールマガジンでは、「改正公益通報者保護法」に関するニュースについてご紹介します。引用のニュースは閣議決定時のものですが、その後国会を通過し、6月11日付で公布されています。
———————————-以下引用————————————
政府は、不正を内部通報したことを理由に従業員を解雇や懲戒処分にした個人や法人に刑事罰を科すことなどを盛り込んだ公益通報者保護法の改正案を、4日の閣議で決定しました。
公益通報者保護法の改正案は、事業者が正当な理由なく内部通報者を特定しようとしたり、通報を妨げたりする行為を禁止するとしています。
そして、不正を内部通報したことを理由に従業員を解雇や懲戒処分にする行為を刑事罰の対象とし、個人には「6か月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金」を、法人には「3000万円以下の罰金」を科すとしています。
さらに通報者が民事裁判を起こした場合は、事業者側が通報と処分には関係がないことを立証する責任を負うとしています。
また、従業員が300人を超える事業者が内部通報者の窓口の担当者を配置しなかった場合、国が立ち入り検査をすることができるほか、命令などに従わない場合には30万円以下の罰金を科すとしています。
政府は今の国会でこの改正案の成立を目指す方針です。
———————————-引用ここまで————————————
『令和7年3月4日付 NHKニュース』より
改正公益通報者保護法では、事業者が正当な理由なく内部通報者を特定しようとしたり、通報を妨げたりする行為を禁止するとされており、その一環として、不正を内部通報したことを理由に従業員を解雇や懲戒処分にする行為を禁止しています(罰則もあります)。
さらに、通報者が民事裁判を起こした場合は、事業者側が通報と処分には関係がないことを立証する責任を負うという、極めて事業者に不利な内容も盛り込まれています。
そのため、会社側としては、実際には不正行為など行っていなくても、従業員側からそのような主張があった場合、不正をしていないことを立証しなければいけなくなってしまいます。
そのため、普段の契約関係をきちんと書面化しておくことや、内部通報窓口など社内コンプライアンス制度の充実が求められるようになります。また、施行後においては、従業員への懲戒処分を検討している場合、改正公益通報者保護法との関係で、予期せぬ不利益を強いられないか、検討していく必要があります。
社内の体制整備や契約書の作成・チェック等は、まさに顧問弁護士が対応できる分野です。ご不安な点がございましたら、遠慮なくご相談ください。
(文責:弁護士 中島裕一)
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