メールマガジンアーカイブ(2025年12月)
※本記事は、2025年12月に、顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。
皆様
万和法律事務所の弁護士福本・中島・千代です。
今回のメールマガジンでは、「営業秘密」に関する記事についてご紹介します。
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営業秘密持ち出し、ニデック元社員賠償命令
モーター大手ニデックのトラブルについての報道が、不正に持ち出した営業秘密に基づくものだったとして、元社員や東洋経済新報社に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は20日、情報提供した元社員に約270万円の賠償を命じた。
(令和7年11月20日配信 共通通信 より引用)
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「退職者が、会社から重要な顧客データを持ち出した」―――業務のデジタル化が進み、従業員が会社のデータを持ち出すということが、物理的にも心理的にも容易になっているのではないかと思われます。
今回ご紹介した記事では、社外へと持ち出された情報が、不正競争防止法に定める「営業秘密」に該当するものとして、損害賠償請求が認められたというものとなっています。
この不正競争防止法は、先月号のメールマガジンで紹介しました「知的財産法」の一つとされるもので、営業秘密のほか、混同を招く商品表示行為や信用棄損行為などを「不正行為」として定め、このような不正行為に対する損害賠償請求権や差止請求権を定めています。
話を「営業秘密」へと戻しますと、「営業秘密」として認められるには、①秘密管理性(秘密として管理されていること)、②有用性(事業活動に必要な技術上又は営業上の秘密であること)、③非公知性(公然と知られていないこと)の要件を満たす必要があります。
上記の要件をすべてクリアすることはなかなか容易ではありませんが、「営業秘密」として認められれば、不正競争防止法に基づく損害賠償請求ができる可能性が出てきます。不正競争防止法に基づく損害賠償請求を行う場合、損害の発生についての立証が緩和されるというメリットがあります。通常、情報が持ち出されて、その持ち出されたことで、どれだけ損害が発生したのかを立証するのはなかなかのハードルがあるため、大きなメリットとなります。
以上では会社の情報が持ち出された場合を想定して述べさせていただきましたが、逆に、他社(者)の営業秘密などの秘密情報(以下「秘密情報」といいます。)が、意図せず、持ち込まれるという事態も想定されます。というのも、デジタル化とともに、キャリアチェンジが活発となった現在、転職者から、第三者の秘密情報が持ち込まれる可能性も増加しているのではないかと考えられます。このように、転職者との関係では、自社の秘密情報を守る方向だけでなく、第三者からの秘密情報を持ち込ませないという方向での誓約書の取交しが重要になってこようかと思われます。
今回は、従業員(退職者)との関係という観点からの秘密情報の保護について述べさせていただきましたが、秘密情報の保護という問題は、取引先などとの関係でも生じることとなります。
秘密情報をはじめとする情報管理に関するご不安などを感じられる場面がありましたら、ご遠慮なくご相談いただけますと幸いです。
(文責:弁護士 千代 明寛)
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