メールマガジンアーカイブ(2024年4月)

※本記事は,2024年4月に,顧問先様へ配信したメールマガジンのアーカイブです。

皆様

万和法律事務所の弁護士福本・中島・竹田です。

今回のメールマガジンでは、「コミュ力低い」という理由での解雇が無効と判断されたニュースについてご紹介します。

———————————-以下引用————————————

 九州ゴルフ連盟(福岡市)の事務局員だった男性が、コミュニケーション能力が低いなどの理由で解雇されたのは不当などとして連盟に対し、地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決で、福岡地裁(中辻雄一朗裁判官)は24日、解雇を無効とし、未払い賃金の支払いを命じた。
 判決によると、男性は2018年から同連盟で働いていたが、22年9月に「コミュニケーション能力が低い」などと解雇された。
 判決は、ささいなことで不機嫌になるなど協調性に欠ける面はあったとしつつも「業務の遂行に必要な能力を欠いていたとまではいえない」などとし、解雇は無効と判断。未払いの残業代約71万円と22年10月から1カ月約30万円の未払い賃金などを支払うよう命じた。
 同連盟は「判決文が届いていないのでコメントできない」としている。【志村一也】

(令和6年4月24日 毎日新聞より引用)

———————————-引用ここまで————————————

解雇は,使用者の一方的な意思表示による労働契約の解約を指します。

民法上では,期間の定めのない雇用契約については,各当事者の意思により,自由に解約ができるとの原則が定められています(民法627条1項)。しかし,解雇については,労働者とその家族の生活に重大な影響を及ぼすことが考慮され,判例上厳格な解釈が取られており,最終的に,「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない」場合には,解雇は無効になるという判例法理が確立されています(日本食塩製造事件・最判昭和50年4月25日)。また,この法理は,平成19年の労働契約法の改正により,同法16条として規定され,現在に至るまで解雇の有効性の基本的な法理とされています。

そして,解雇が無効とされた場合,労働者は,解雇通知を受けた日以降も勤務していたことになります。この場合,解雇日以降の賃金債権(バックペイ)については,原則として使用者の「責めに帰すべき事由」(民法536条2項)により支払われなかったこととなるため,労働者が実際に労務を提供していなくとも,使用者には支払義務が生じます。

特に,解雇訴訟は,民事訴訟の中でも比較的時間を要することが多いと言われており,仮に解雇訴訟で敗訴した場合には,バックペイが多額になるリスクがあります。

上記のように,判例上解雇の有効性が厳格に解釈されていることや,多額のバックペイが生じるリスクがあることから,解雇の判断は,慎重に行うべきこととなります。

他方で,判例上,注意指導や配置転換など,使用者による改善機会の付与(解雇回避措置)が十分になされている案件では,解雇の有効性が認められやすい傾向があります。また,そうした解雇回避措置を講じることによって,問題社員の行動が改善されることもあります。

以上のように,従業員の解雇に当たっては,どのような段階を経て解雇に至るかが重要であり,慎重な判断が求められます。もし,問題従業員の解雇を検討されているようでしたら,遠慮なくご相談いただけますと幸いです。

(文責:弁護士 竹田 仁)

※本メールマガジンの転載、紹介は可能です。但し、全文を必ず掲載して下さい。